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岐阜薬科大学

研究背景

先天性CMV感染症

妊娠中の女性にサイトメガロウイルス(CMV)が感染すると、胎盤を介して胎児に感染します(先天性感染)。新生児300人当り1人にCMVの先天性感染が見られ、先天性感染児の約3割が難聴や発達の遅れなどの障害?後遺症を起こします。しかし、CMV感染症の安全な治療薬はなく、感染を予防するワクチンも存在しません。

研究の大目標

私達は、2つのアプローチでCMVワクチンの開発を行っています。ひとつはウイルスが細胞に感染するために必要なタンパク質に対する抗体を体内で作らせる「従来型」ワクチンの開発です。もう一方は、ウイルスとしての増殖力や毒性を人為的に弱くしたCMVをワクチンとして接種することで、本物のCMVの感染を防ぐ「次世代型」ワクチンの開発です。

本研究の目的

ウイルスが感染すると、私たちの身体は熱を出したり、抗体などの感染防御物質を作ったり、感染した細胞を自爆(細胞死?アポトーシス)させ、感染を抑え込むための反応(免疫反応)をします。一方で、CMVは、多種多様な方法でこの抑え込みに抵抗します。その代表例が、細胞死の阻害です。細胞死が阻害されることで、感染細胞は長期間にわたって多量のウイルスを放出することになります。本研究では、その阻害のメカニズムをモルモットのCMV(GPCMV)を用いて、明らかにしました。

本研究の成果

先天性感染を引き起こすメカニズムがヒトとよく似ていることから、私たちはGPCMVを使った研究を行っています。これまでの研究で、アポトーシスを促進させるBcl-2ファミリー分子の一つであるBAXを阻害するGPCMV遺伝子産物(gp38.1)を見出しました(Noguchi et al., J. Gen. Virol., 2020)。しかしながら、gp38.1による阻害効果は弱く、別のアポトーシス促進分子であるBAKには効果が無かったことから、GPCMVは複数のアポトーシス抑制遺伝子を持つと考えていました。今回、第2のアポトーシス抑制遺伝子としてgp38.3-2を同定し、その働き方は他のウイルスで知られるものとは異なっていることを明らかにしました(Satoh et al., J. Viorl., 2022)。

研究の概要

アポトーシス抑制活性を持つと考えられたGPCMV遺伝子を細胞に導入した後、薬剤(スタウロスポリン、STS)によりアポトーシスを誘導しました。細胞死として質的に異なるアポトーシスとネクローシスをフローサイトメトリーにより測定した(図1A)ところ、gp38.3を発現させた場合ではアポトーシスが抑制されました(図1B)。しかし、同じ遺伝子領域内の異なるフレームで42アミノ酸から成るgp38.3-2の開始コドンを破壊すると、アポトーシス抑制活性が認められなくなったことから、アポトーシス抑制活性を有したのはgp38.3-2であることが明らかになりました。

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遺伝子組換え技術によって、23万塩基のGPCMVゲノムに1塩基の変異を導入して、gp38.3-2遺伝子を欠損させたウイルス(Δ38.3-2)とそれを元に復帰させたウイルス(r38.3-2)を作製しました。両ウイルスを細胞に感染させたところ、Δ38.3-2ウイルスの感染で死細胞が約10倍増加し(図2A)、結果としてウイルス収量も1/10程度に減少しました(図2B)。個体中でのCMV伝播を担う単球への感染効率も減少しました(図2C)。モルモット個体における両ウイルスの増殖能を比較しましたが、遺伝子欠損による大きな違いは認められませんでした。今後、感染経路などの条件や複数のアポトーシス抑制遺伝子を破壊したウイルスでの効果を検討する予定です。

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最後に、gp38.3-2が細胞死を阻害するメカニズムを検討しました。3次元構造予測の結果、BAKの3つのヘリックスにgp38.3-2が包まれ、BAKのBH3-BH1モチーフに結合することが想定されました(図3A)。そこで、BAKとgp38.3-2の共局在解析(図3B)や免疫沈降法で複合体形成を証明しました。さらに、構造モデルを元に遺伝子に変異を導入することで、モデルの有効性を示しました。他のウイルスのアポトーシ抑制スタンパク質は、Bcl-2タンパク質との類似性を介した分子間相互作用によるものとされてきましたので、gp38.3-2は新規のアポトーシス抑制様式を有していると言えます。

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本研究成果のポイント

  • GPCMVがコードする第二のアポトーシス抑制遺伝子gp38.3-2を同定し、その阻害効果を遺伝子発現系および組換えウイルスの感染系の両方で証明した。
  • モルモット個体におけるウイルス増殖に与える影響は軽微であり、アポトーシス抑制遺伝子を単独で破壊するだけでは、低病原性が必要とされるワクチン株にはなり得ないことが示された。
  • 42アミノ酸からなるタンパク質でアポトーシス抑制が可能であることから、このタンパク質の改変を行うことで、感染症の分野以外でも細胞死を制御できる薬剤の開発への発展が期待できる。

論文情報

  • 雑誌名:Journal of Virology
  • 論文名:Characterization of the Second Apoptosis Inhibitor Encoded by Guinea Pig Cytomegalovirus
  • 著者:Keisuke Satoh, Keita Takahashi, Kazuma Noguchi, Yuhki Kobayashi, Ryuichi Majima, Yoshihiko Iwase, Keisuke Yamaguchi, Yukina Masuda, Tetsuo Koshizuka, Naoki Inoue
  • 論文URLhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36472439/
  • DOI番号:10.1128/jvi.01622-22

研究室HP

https://www.gifu-pu.ac.jp/lab/kansen/