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研究の背景

オートファジーは、酵母からヒトまですべての真核生物に備わっている細胞内の浄化?再利用システムであり、細胞質内の内容物、異常なタンパク質凝集体、過剰または損傷したオルガネラをオートファゴソーム内に閉じ込め、リソソームで分解します。オートファジーは正常細胞にとって重要な機能ですが、過剰な細胞増殖や抗がん剤投与に由来する様々なストレスに対し防御的に働くことで、がん細胞の生存や抗がん剤耐性化に貢献します。そのため、オートファジーはがん治療における新たな標的と考えられており、これまでにいくつかのオートファジー阻害剤について抗がん剤としての有効性が評価されてきました。しかし、現在用いられているオートファジー阻害剤は、PI3キナーゼ/Aktシグナルの阻害剤とリソソーム阻害剤であり、これらはオートファジーを特異的に阻害するわけではありません。

そこで、オートファジーに特徴的な現象であるオートファゴソーム形成に重要なシステインプロテアーゼであるAtg4Bの阻害化合物の創製研究を行いました。In silicoスクリーニングによって見出したリード化合物を分子モデリングによって構造最適化し、得られた強力なAtg4B阻害剤について、前立腺がん細胞におけるオートファジー阻害活性と、去勢抵抗性前立腺がん (CRPC) 治療薬の作用増強活性を評価しました。(図13Journal of Medicinal Chemistryの論文中のFigureを改変の上転載)

研究の概要

オートファゴソームの形成には、複雑なタンパク質間相互作用が関与します。ATG4はオートファゴソーム形成の際に、microtubule-associated protein 1 light chain 3 (LC3) 前駆体 (pro-LC3)のC末端を切断し、LC3-Iに変換するシステインプロテアーゼで、ヒトに存在する4種のAtg4ホモログ (Atg4A、Atg4B、Atg4C、Atg4D) の中でAtg4Bが最も高い活性を示します。Atg4Bの発現抑制や不活性変異体の導入によってオートファゴソーム形成は不完全になることから、オートファゴソーム膜形成を阻害する新規オートファジー阻害剤としてAtg4B阻害剤の開発を行いました。

Atg4B阻害剤を探索すべく、長崎大学で独自に開発されたスーパーコンピューターDEGIMAを用いて東京大学創薬機構21万種のドラッカブルケミカルズについてin silicoスクリーニングを行いました (図1)。ドッキングスコアは水素結合などの親水性相互作用とπ‐πスタッキングなどの疎水性相互作用による結合エネルギーの総和から算出されるため、総じて分子量が大きい化合物のスコアは高く見積もられます。そこで、分子量600をしきい値とし、分子量600以下のスコア上位960化合物を入手し、thermal shift assayを行い、2 °C 以上の変性中点 (Tm値) の上昇が認められた化合物の中から、最も高活性な化合物17を得ました (図1D)。化合物17はホスホリパーゼ (PLA2) 阻害剤3-(4-octadecyl)-benzoylacrylic acid (OBAA) として知られます。そこで、Atg4B阻害活性の上昇とAtg4B選択性の向上に向けて、分子モデリングによる構造最適化を行い、選択性が80倍向上した誘導体21fを得ることに成功しました。

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1 in silicoスクリーニングから見つかったリード化合物17
(A) Atg4B-proLC3複合体構造 (PDB: 2Z0E)(B) In silicoスクリーニングのスコアと分子量
(C) Thermal shift assay(D) Atg4B阻害活性

次に、前立腺がんLNCaP細胞における21fのオートファジー阻害効果を評価しました。21fの前処理により、AF処理時に低下したp62の発現量は用量依存的に増加し、化合物17と比較して、より低濃度で強い効果が見られました (2A)。またアミノ酸飢餓培地の処理で増大したDAPGreenのドット状の蛍光は21fの前処理により顕著に減少しました (2B)。以上の結果から21fは化合物17よりも強力なオートファジー阻害剤であることが示唆されました。

前立腺がん細胞で誘導されたオートファジーは、CRPC治療薬の抵抗性を高めることが知られます。21fabiraterone (Abi) によって誘導したオートファジーを抑制しました (3A)。また、Abi処理によって誘導されたアポトーシス性細胞死は、21fの前処理によってさらに増強されました (3B-D)。同様の結果は、Abi以外のCRPC治療薬であるenzalutamideapalutamide cabazitaxelでも見られました (データ未掲載)。以上の結果から、21fはオートファジー阻害を介してCRPC治療薬によるアポトーシス性細胞死を増強させることが示唆されました。

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2. 21fによるオートファジー阻害活性
(A) オートファジー基質p62発現、(B) オートファゴソーム検出プローブDAPGreenによる染色

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3. 21fによるアビラテロン感受性の増大
(A) DAPGreen染色、(B) 抗カスパーゼ-3抗体による蛍光免疫染色、(C) ウエスタンブロットによる切断型PARP発現、(D) Alamar blue assayによる生細胞数測定

本研究では、論理的創薬アプローチによって強力なAtg4B阻害剤の創製に成功し、その前立腺がん治療薬としての有用性を提唱することができました。

本研究成果は、富山大学、産業医科大学、岐阜大学、長崎大学、鹿児島大学との共同研究によるもので、岐阜薬科大学生命薬学大講座生化学研究室の工藤 優大氏、藤田 芽衣氏、太田 篤実氏、遠藤 智史准教授、松永 俊之教授(現:グリーンファーマシー教育推進センター)、五十里 彰教授らにより国際学術誌「Journal of Medicinal Chemistry」に掲載されました。

また、日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(C)、日本医療研究開発機構(AMED) 創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)と「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」 橋渡し研究(シーズA)、越山科学技術振興財団、小川科学技術財団などの支援の下でおこなわれたものです。

本研究成果のポイント

  • インシリコ分子モデリングを用いてAtg4Bの強力な阻害剤の創製に成功しました。
  • 新規Atg4B阻害剤は前立腺がん細胞を用いた検討において、強力なオートファジー阻害活性を示し、去勢抵抗性前立腺がん治療薬の抗がん活性を有意に増強しました。

論文情報

  • 雑誌名: Journal of Medicinal Chemistry
  • 論文名: Discovery and structure-based optimization of novel Atg4B inhibitors for the treatment of castration-resistant prostate cancer.
  • 著者: Yudai Kudo, Satoshi Endo, Mei Fujita, Atsumi Ota, Yuji O. Kamatari, Yoshimasa Tanaka, Takeshi Ishikawa, Hayato Ikeda, Takuya Okada, Naoki Toyooka, Naohiro Fujimoto, Toshiyuki Matsunaga, Akira Ikari
  • 論文URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jmedchem.1c02113
  • オンライン掲載日: 202234

研究室HP

https://www.gifu-pu.ac.jp/lab/seika/